以前、「親が入院したときに知りたいこと」を二つ記事にしました。
家族が突然入院することになったとき、多くの人は不安や戸惑いを感じます。
入院にまつわる流れや必要な持ち物、病院とのやり取りについて、あらかじめ知っているだけで落ち着いて対応できる場面は少なくありません。
今回は、病院相談員の視点から「家族が入院したときに知っておいた方がよいこと」を整理しました。
家族関係や病状によって対応はケースバイケースですが、一般的に役立つ情報をご紹介します。
入院が必要になるケースは主に2つ
「入院」のパターンは、大きく分けて以下の二つです。
いずれの場合も、受診してそのまま入院になることもあれば、緊急性がなければ一旦帰宅し、後日改めて入院となることもあります。
入院時に必要な準備と持ち物
救急搬送時に特に必要なもの
救急搬送では「取るものもとりあえず」で家族や施設職員が付き添うことが多いため、忘れ物がないように注意が必要です。必ず以下を持参してください。
服薬情報や介護保険の状況は、入院時の聞き取りや治療方針を決めるうえで欠かせません。
患者が自分で説明できないときほど重要になります。
看護師が確認する主な情報
入院時に看護師が家族から聞き取りする情報としては、以下のようなものがあります。
特に既往歴については、同居していない親の場合、通院状況を別居の家族はよく知らないというケースが多々あります。
「かかりつけ医院はどこだった?」ということがあるため、注意が必要です。
そのほか持参するとよい証書類
医療被保険者証やおくすり手帳以外にも、次のような証書があれば一緒に持参するとスムーズです。
「今回の入院には関係ないからいいか」と思わずに、一旦持参しておくと安心です。
病状説明とDNARの確認について
入院後、主治医から病状説明があります。
患者が重篤、または重篤になる可能性が高いと判断されると、DNAR(Do Not Attempt Resuscitation:蘇生処置を行わない)の確認が行われることがあります。
DNARとは、心肺蘇生法を行わない意思表示のことです。
命を救う努力を放棄するのではなく、自然な死を優先させたいという患者本人の希望を尊重するもので、心肺蘇生以外の延命治療が行われる場合もあります。
「突然そんな話をされても…」と戸惑われる方も多いでしょう。
しかし、高齢の親御さんがいるご家族であれば、そう遠くない将来に直面する問題です。
本人が自分の意思を伝えられる状況にあるうちに、「延命治療を希望するかどうか」など、人生の最期についてしっかり話し合っておく必要があります。
そういった場面は突然訪れるものですから、話ができる間にぜひご家族で話し合っておいてください。
入院中の病院とのコミュニケーション
病院からの連絡は限定的
入院後、基本的には何かあった時や医師からの希望がなければ、病院から家族に頻繁に連絡することはほとんどありません。
病棟の看護師からの連絡は、主に以下のようなケースです。
主治医から家族に話をする場合、来院してもらうときと電話で済ませるときがあります。
家族からの連絡は頻度と時間帯に注意
心配のあまり「本人はどうしていますか?」「ちゃんと食事はとれていますか?」と頻繁に電話をされるご家族もいますが、看護師は常に忙しくしているため、あまり何度も電話をするのは控えた方がよいでしょう。
電話をするにしても、午前中と夜勤帯は避けた方が無難です。
どうしても話を聞きたいときは、
といった方法をとるとスムーズです。
遠慮せずに聞きたいことはまとめて聞く
「あまり色々聞かない方がいいのかしら」と遠慮される方もいますが、私は気になることはちゃんと聞いた方がいいと思っています。
病院から気をまわして説明してくれることは、ほぼないと言っていいでしょう。
遠慮していては、聞きたいことはいつまでも分からないままになる可能性があります。
自分が聞きたいこと、他の家族が気になっていることを、あらかじめメモなどにまとめておき、主治医から話を聞ける機会に質問しましょう。
また、主治医から話を聞く場合は、なるべく自分一人ではなく他のご家族も一緒に聞かれることをお勧めします。
まとめ:入院時に家族が心得るべきこと
ご家族の突然の入院は、誰にとっても不安な出来事です。
病院相談員としての視点から、今回の記事内容を総括すると、以下の3点が重要になります。
医療・介護に関する情報は抜け漏れなく持参する
急な入院であっても、健康保険証とおくすり手帳は必ず持参してください。
特に高齢者の場合は、介護保険証や障害者手帳など、「今回の入院とは関係ない」と思われがちな情報も、一旦持参することで、スムーズな治療や退院後の生活支援につながります。
「もしもの時」について本人と話し合っておく
突然、DNAR(蘇生処置拒否)の意思確認を迫られることがあります。
これは、患者様が自分の意思を伝えられなくなってからでは遅い問題です。
ご家族間で、延命治療の希望の有無など、人生の終末期について話し合い、本人の意思を共有しておくことが、ご家族の精神的な負担軽減にも繋がります。
病院とのやり取りは「伝える」「聞く」内容を整理する
病院スタッフは基本的に忙しいため、家族からの頻繁な電話は避け、連絡する時間帯(午前中・夜勤帯以外)に配慮しましょう。
一方で、聞きたいことは遠慮せずに、質問をまとめて主治医に説明の機会を設けてもらうよう看護師に依頼することが大切です。
病状に関する話は、できるだけ複数のご家族で一緒に聞くようにしましょう。
これらの準備と心構えがあれば、ご家族の入院という状況に落ち着いて対応し、患者様にとって最善のサポートができるはずです。




