【病院相談員が解説】失敗しない身元保証サービスの選び方

家族・人間関係

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ひとつ前の記事では、頼れる親族がいない状況での入院生活がいかに大変かをお伝えしました。

現在独り身だったり、さまざまな事情から家族に頼ることが難しく、「自分に何かあったら誰が手続きをしてくれるのだろう」と不安を感じている方に知っておいてほしい選択肢が、身元保証サービスです。

怪我や病気は、いつ自分の身に降りかかるか予測できません。
今は元気で実感が湧かないという方も、「いざという時にこういう解決策がある」という知識を持っておくだけで、将来の安心感が大きく変わります。

身元保証サービスとは?

身元保証サービスとは、主に身寄りのない高齢者や家族に頼りたくない人に代わり、入院や施設入居時の身元保証人や緊急連絡先を引き受ける仕組みです。
運営主体は、民間企業、一般社団法人、NPO法人など多岐にわたります。

一般的な「保証人」と異なり、契約に基づいて継続的な支援を行う点が特徴です。
単発の手続き代行ではなく、日常生活や死後まで見据えた支援体制を整えている団体も少なくありません。

身元保証サービスの主な内容

ガイドラインで示されているサービス範囲

厚生労働省が作成した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(p.6)の中では、身元保証サービスとして提供されるサービスの例として、次のようなものを紹介していました。

          種 類          具体例
身元保証等サービス① 医療施設への入院の際の連帯保証
② 介護施設等への入所の際の連帯保証
③ 入院・入所、退院・退所時の手続の代行
④ 死亡又は退去時の身柄の引取り
⑤ 医療に係る意思決定の支援への関与
⑥ 緊急連絡先の指定の受託及び緊急時の対応
死後事務サービス① 死亡の確認、関係者への連絡
② 死亡診断書(死体検案書)の請求受領、火葬許可の市区町村への申請、火葬許可証及び埋葬許可証の受領、死亡届申請代行
③ 葬儀に関する事務
④ 火葬手続(火葬の申込み、火葬許可証の提示)に関する手続代行
⑤ 収蔵(納骨堂)、埋蔵(墓処)、永代供養に関する手続代行
⑥ 費用精算、病室等の整理、家財道具や遺品等の整理
⑦ 行政機関での手続関係(後期高齢者医療制度資格喪失届、国民健康保険資格喪失届等)に関する代行⑧ ライフラインの停止(公共料金(電気・ガス・水道)の解約、インターネット・Wi-Fi 等の解約、固定電話、携帯電話、NHK等の解約等)に関する手続代行
⑨ 残置物等の処理に関する手続代行(遺品目録の作成、相続人等への遺品・遺産の引渡し)
⑩ 墓地の管理や墓地の撤去に関する手続代行
日常生活支援サービス1 生活支援関係
① 通院の送迎・付添い
② 買物への同行や購入物の配達、生活に必要な物品の購入
③ 日用品や家具の処分
④ 病院への入院や介護施設等への入所の際の移動(引っ越し)及び家具類の移動・処分
⑤ 介護保険等のサービス受給手続の代行

2 財産管理関係
① 公共料金等の定期的な支出を要する費用の支払に関する手続代行
② 生活費等の管理、送金
③ 不動産、動産等の財産の保存、管理、売却等に関する手続代行
④ 預貯金の取引に関する事項
⑤ 金融商品の解約・換価・売却等の取引に関する手続代行
⑥ 印鑑、印鑑登録カード等の証書・重要書類の保管⑦ 税金の申告・納税・還付請求・還付金の受領に関する手続代行

入院・施設入居時の身元保証

病院や施設では、入院や入居の際に身元保証人を求められることが一般的です。
身元保証サービスは、家族などの身元保証人がいない契約者に対し、保証人の役割を担い、入院手続きや施設入居の支援、緊急時の連絡対応を行います。
急変時には、担当者が病院へ駆け付ける体制を整えている団体もあります。

日常生活を支える継続的な支援

入院中や療養中だけでなく、在宅生活においても買い物や書類提出、家賃や公共料金の支払いなど細かな用事が発生します。
身元保証サービスでは、必要に応じて日常生活に関わる支援を行います
行政手続きの代行や、入院中に必要な物品を自宅から届ける対応など、継続的な生活支援も対象です。

死後事務まで含まれるサポート

多くの身元保証サービスでは、死後事務まで支援範囲に含まれます。
葬儀や納骨の手配、遺品整理、公共料金や賃貸契約の解約、入院費や施設費用の精算など、本来は家族が担うことの多い手続きを代行してもらえるため、周囲に負担をかけたくない方にとっても大きな安心材料です。

身元保証サービスにかかる費用の目安

費用は事業者や契約内容によって大きく異なりますが、一定の傾向があります。

  • 初期費用:30万円〜100万円程度
    入会金や事務手数料として契約時に支払うケースが一般的です。
  • 月額費用:数千円〜数万円程度
    見守りや生活支援の内容によって金額が変わります。
  • 預託金:50万円〜100万円程度
    葬儀費用や死後事務の精算に充てる目的で、あらかじめ預ける資金です。

契約時には、初期費用と預託金を合わせて100万円〜200万円程度のまとまった資金が必要になるケースもあります。
事業者やプランによって金額は大きく異なるため、必ず事前に見積もりを取り、ご自身の予算に合った内容を検討しましょう。

利用するメリットと注意点

身元保証サービスを利用する際は、利便性だけでなく、費用面や契約内容に関する注意点も正しく理解しておくことが重要です。

メリット
  • 医療機関、施設との手続きがスムーズになる。
  • 家族や親族に精神的・実務的な負担をかけずに済む。
  • 死後の手続きまで含めた一貫したサポートを任せられる。
注意点
  • 経済的な負担: 初期費用や月額費用、預託金など、まとまった資金が必要になる。
  • 事業者側のリスク: 倒産や事業終了により、サービスが継続できなくなる可能性がある。
  • 契約トラブル: 契約内容が不明確な場合や、解約時に高額な費用を請求されるケースがある。

こうしたトラブルを防ぐため、消費者庁からも「高齢者等終身サポート事業」の利用に関する注意喚起が出されています。
(出典:消費者庁 いわゆる「高齢者等終身サポート事業」の利用に関する注意点 | 消費者庁
「身元保証」や 「お亡くなりになられた後」を 支援するサービスの契約を お考えのみなさま

契約前には、地域包括支援センターなどの公的窓口に相談し、内容を客観的に確認することが大切です。

病院相談員の現場から見る身元保証サービスの実際

私たち病院相談員は、身寄りのない患者さんが入院した際、状況に応じて身元保証サービスをご案内することがあります。
患者さん本人の同意を得たうえで、担当者が病室を訪れ、その場で契約を結ぶケースも珍しくありません。
身元保証団体によって対応は異なりますが、契約当日からサービスを利用できる場合もあります。

契約後、患者さんが「今度来る時に、自宅にある〇〇を持ってきてほしい」「電気代の支払いを忘れていたからお願いしたい」と、まるで家族に頼むように相談されている姿をよく目にします。
中には、契約した瞬間にホッとして、それまで強張っていた表情がスッと和らぐ方もいらっしゃいます。
一人で「この先どうなるのだろう」と抱え込む不安は、想像以上に重いものなのだと、日々の現場で実感しています。

失敗しない身元保証サービスの選び方

自分に合ったパートナーを見つけるために、病院相談員の立場から、特に確認してほしい3つのポイントを整理します。

自分のニーズを明確にする

まず重要なのは、自身がどの場面で困るのかを整理することです。
入院時の保証人、日常生活の支援、死後事務、緊急時対応など、必要な支援内容を具体的に洗い出します。
サービス範囲は事業者ごとに異なるため、対応可能な内容を必ず確認します。

事業者の信頼性を見極める

運営主体や事業実績の確認は欠かせません。
財産の寄付を条件とする契約や、安易に通帳や印鑑を預かろうとする姿勢には注意が必要です。
預かり金の管理方法が信託口座などで分別管理されているかも確認ポイントになります。

契約内容と費用を比較する

料金体系が明確に提示されているか、書面で確認します。
解約条件や返金規定、契約期間、個人情報の取り扱いについても細かく目を通す必要があります。
一社だけで判断せず、複数の事業者から見積もりを取り、内容と費用を比較することが重要です。
契約内容や費用を十分に比較したうえで、最後は担当者の方との「相性」も大切にしてください。
自分の人生の大切な部分を託す相手だからこそ、話しやすさや誠実さを感じられるかどうかも、重要な判断材料になります。

まとめ

身元保証サービスは、これからの「ひとり身」の暮らしを支える大切なインフラになりつつあります。
「もしも」の時に慌てないよう、元気な今のうちから情報を集め、自分のライフプランに合った選択肢を持っておきましょう。

自分一人で抱え込まず、自治体の相談窓口や社会福祉協議会、専門職による無料相談会などを活用し、最初の一歩を踏み出してみてください。

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