「心の充足」を求める時代:新しいライフスタイル【SBNR】とは

人生観・心の悩み

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近年、欧米を中心に注目を集めている価値観「SBNR(Spiritual But Not Religious)」という言葉をご存じでしょうか。

直訳すると「無宗教型スピリチュアル」。

特定の宗教組織に所属したり、形式的な教義や儀式に縛られたりするのではなく、個人的な探求や体験を通して、精神的な豊かさや充足感を大切にする生き方と定義されます。

この新しいライフスタイルは、コロナ禍以降の社会不安や価値観の多様化を背景に、静かに広がりを見せています。
本記事では、このSBNRの正体と、なぜ今、私たち日本人に深く関わるのかを解説します。

私とSBNR(無宗教型スピリチュアル)との出会い

車での通勤中、いつも聴いているラジオ番組の中で、ゲストが「SBNR」について話しているのを耳にしました。
聞くともなしに聞いていたのですが、その内容が、私が当ブログで常々お伝えしている「50代の自分が大切にしたい価値観や人生観」の模索と、不思議と重なる部分があると感じたのです。

SBNRは、健康的な食事や睡眠、自然とのふれあい、リトリートやマインドフルネスなど、目に見えない精神的な価値への関心が高い人々が重視する傾向にあります。

「意識高い系の人ってこと?」と勘違いされがちですが、決してそうではありません。

私なりの解釈では、SBNRとは「心の充足を得るために、自分には何が必要なのかを探し求める行為そのもの」ではないかと思っています。
人生観を問いかけ、答えを模索する—この過程こそが、SBNRの本質に近いと考えるのです。

SBNRとは? 精神的な豊かさを重んじる生き方

SBNR(Spiritual But Not Religious)とは、特定の宗教の枠にとらわれず、個人の内面に深く根ざした心の豊かさや充足感を追求する生き方です。
ここでいう「スピリチュアル」は、超常現象やオカルトではなく、心の充足や精神的な安定を意味します。
物質的な豊かさよりも、心の健康やウェルビーイングを重んじる点が最大の特徴です。

SBNR層が重視する、心の充足や精神的な安定につながる主な共通点は以下の通りです。

  • 個人的な探求:瞑想やヨガなどを通して自己理解を深め、内なる平穏を見出す。

  • 自然とのつながり:自然の中で過ごす時間を通して、心のバランスを整え、インスピレーションを得る。

  • 多様なアプローチ:特定の教義に縛られず、さまざまな思想や文化から自分に合うものを選び取る。

アメリカでは、宗教的な価値観から離れつつも精神性を重んじる人が増えており、Pew Research Center(2017年)の調査では、国民の約5人に1人がSBNR層に該当すると報告されています。
出典:アメリカ人の多くが、自分はスピリチュアルだが宗教的ではないと言っている
(Pew Research Center, 2017)

なぜ今、SBNRが世界で広がるのか

SBNRという概念は、2000年代にアメリカで広まりました。
背景には、20世紀後半からの「脱キリスト教」的な社会変化があります。
特定の宗教に縛られずに豊かな精神性を追求する人々を捉えた言葉として浸透しました。

この流れが再び注目を集めたのが、2020年前後のコロナ禍や世界的な混乱です。
社会不安の高まりと共に、「ヒューマニズム」「ウェルビーイング」「メンタルヘルス」といった、精神的な要素を重要視する流れが加速しました。

物質的な豊かさが行き渡った現代において、宗教的なエッセンスが削ぎ落とされた「瞑想(マインドフルネス)」や「禅」などが、実践的な行動として欧米のエリート層にも受け入れられるようになったのも、SBNR層の広がりを後押ししています。

SBNRを構成する4つの要素

博報堂のプロジェクトチーム(HAKUHODO HUMANOMICS STUDIO)は、SBNR的価値観を次の4つの要素に整理しています。
これらが複雑に絡み合い、相互に作用しながら心の豊かさを育みます。

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  1. S = Soul(こころ)
  2. B = Body(からだ)
  3. N = Nature(しぜん)
  4. R = Relationship(つながり)

たとえば、ヨガやサウナは「こころ(S)」と「からだ(B)」を整える実践です。
また、リトリートやキャンプは、自然(N)とのつながりを感じ、人との関係(R)を見つめ直す時間でもあります。
これらの要素を一体として捉え、融合させながら豊かな精神性を追求するのがSBNRの本質です。

日本人の中に根づくSBNR的な感性

「宗教的ではないけれどスピリチュアル」という感覚は、実は私たち日本人にとってごく自然なものです。
博報堂の調査では、日本人の約43%がSBNR層に該当するという結果も出ており、他国と比較してもその割合は非常に高いことが分かっています。

これは、特定の宗教を強く信仰する人が少ない一方で、日常の中に精神性を大切にする文化が深く根付いているからです。

  • 自然と生命への敬意
    八百万の神の思想に表れる、特定の神ではなく、自然やあらゆるものに神が宿るとする考え方。

  • 行為を通じた自己探求
    「道」の概念(弓道、茶道、華道など)に見られる、形式的な行為の中に自己の修練や精神的な深さを見出す文化。

  • 生活習慣としての儀式
    初詣やお墓参り、祭りといった仏教や神道に関わる行事に参加するが、特定の宗教への深い信仰意識は伴わない習慣。

  • 他者と恵みへの感謝
    食事の前の「いただきます」や食後の「ごちそうさま」など、命や他者からの恵みに感謝する精神。

最近流行しているサウナも、外部情報を遮断し、心身を研ぎ澄ませる「ととのう」状態に心地よさを見出す点で、SBNR的なトレンドと言えます。
私自身、気持ちを落ち着かせたい時にお香を炊いたり、自律神経を整えるヨガをしたりと、特に意識せずともSBNR的な行動を生活に取り入れていることに気づきます。
振り返ってみると、身の回りにSBNR的な行動は案外たくさんあるのではないでしょうか。

SBNRはこれからの時代を穏やかに生きるためのヒント

SBNRという言葉は、単なる宗教離れを示すものではなく、現代を生きる私たちが精神性を再発見するためのキーワードだと感じています。

「心をととのえる」活動(サウナ、瞑想、リトリートなど)が、宗教とは無関係に自分の内面と向き合い、穏やかに生きるための手段として広く受け入れられているのがその証でしょう。

忙しい日常の中で見失いがちな、自分の心と体、自然、そして人とのつながり。
SBNRは、これらを見つめ直すことで静かな幸福を見いだせると示してくれます。

すでに私たちの暮らしの中に息づいているこの感性を、これからは意識的に育てていきたいと思っています。
SBNRは、私たち一人ひとりがこれからの時代をより豊かに、心穏やかに生きていくための具体的なヒントを与えてくれるのではないでしょうか。

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