なぜ大人になると時間が加速するのか
12月が近づくたびに「今年も本当にあっという間だった」と感じることがあります。
振り返ると、20代後半あたりからこの感覚がじわじわ強くなってきました。
子どもの頃は長く感じた一日が、大人になると一気に過ぎていくように思える。
集中して仕事に取り組む時は時間が短く感じ、逆に暇を持て余すと時計が止まったような気さえします。
日々の体感の揺らぎがあるにもかかわらず、 なぜ私たちは一年全体を振り返ったとき、「あっという間だった」という結論に行きつくのでしょうか。
その答えを探るために、まずは「時間がゆっくり」だった子どもの頃の生活と、大人になってからの生活を比べてみましょう。
子ども時代の『濃密な時間』の正体
決まったサイクルなのに長い一日
小学生の頃は、自分で時間配分を考えて行動する場面はほとんどありませんでした。
家庭では「何時までに〇〇しなさい」と指示され、学校では時間割どおりに行動する毎日。
放課後は習い事や友達との遊びがあり、帰宅して夕食、入浴、就寝という決められた流れで過ごしていました。
同じサイクルを繰り返していても、一日は驚くほど長く感じていた記憶があります。
毎日が“新しい経験”の連続
それはなぜかというと、一つは毎日が「新しい経験だらけ」だったからです。
当時は日々同じことを繰り返しているようでいて、実際には初めて触れる出来事が多く、刺激にあふれていたように思います。
新しい遊びを覚えたり、友達との会話が毎日違ったり、授業内容が新鮮だったり—。
こうした“刺激の多さ”の積み重ねが、子ども時代の時間を濃密にしていたのかもしれません。
大人になると一年が早く感じる理由
生活のルーティン化が時間を圧縮する
大人になると、自分で行動内容や時間を決められるようになります。
仕事以外のルーティンは考えなくても自然に処理でき、だいたいどれくらい時間がかかるかも予測できます。
便利な反面、ルーティン化された生活は変化が少なく、「今日も同じことの繰り返し」という日が増えがちです。
安心感はあるものの、刺激が減ることで一日の印象が薄くなり、時間が短く感じられます。
新しい経験が減り、記憶が薄くなる
年を取るにつれて新しい経験や刺激的な出来事が減り、日々が単調になりがちです。
正直に言えば、私は変わらない毎日が一番楽でありがたいと思っています。
しかし、この「単調さ」は新しいこととして記憶に残りにくいという側面もあります。
毎日分刻みで用事をこなし慌ただしく時間が過ぎる人も、代り映えしない毎日をただやり過ごす人も、共通しているのは刺激の少なさ。
それが「一年があっという間」という感覚につながるのです。
「ジャネーの法則」で考える時間の体感
経過する時間の早さを語る際に、必ず登場するのが「ジャネーの法則」です。
「人生のある時期に感じる時間の長さは、その年齢の逆数に比例する」という考え方で、年齢を重ねるほど一年が短く感じる理由を説明しています。
- 10歳の子どもにとっての一年=これまでの人生(10年)の10分の1
- 50歳の大人にとっての一年=これまでの人生(50年)の 50分の1
同じ一年でも重みがまったく違うため、大人ほど短く感じやすくなるのです。
極端な例では、20歳までに人生の体感時間の半分が過ぎている計算になるとも言われています。
体感時間を濃密にするヒント
一年が早く感じるのは悪いことばかりではありません。
多くの経験を重ねた証でもあり、穏やかに過ごせる日常があるとも言えるからです。
ただ、「ジャネーの法則」が示唆するように、ほんの少し意識して新しいことを取り入れるだけで、時間の密度は変えられるはずです。
そんな小さな一歩でも、日々の景色が少し違って見えるようになります。
気づけばまた年末。
「あっという間の一年」を、来年は少しでも濃密に味わえるよう、小さな変化を意識してみるのはいかがでしょうか。


